「クレーム件数を削減せよ!」
会社により言い方は様々ですが、品質保証部の業績目標はこれであることが多い。
クレーム関連でしか数値化できるものが無い
と、目標に定めるには最適。しかし、これがまた適当なものなのだ。
こんなの理不尽だ
必死に頑張る品質保証部。しかし、業績目標は未達成だ。クレームに関する費用が増え、予算オーバー。
なぜだ?
故障品の原因分析する人は多いのに、故障件数が増えた理由を分析する人は少ない。意外と手間がかかる。
担当外の自分が仕方なく分析した結果、衝撃の事実が判明する。
業績絶好調で出荷数が激増
そらクレーム件数増えるわ
出荷が増えればクレームも増えるのは当然。初期不良、工事でのミス、勘違い、出荷数と比例して増えるものです。
こんなん、目標にする数値じゃない
なぜ件数を目標にするのか?
故障などで交換すると、費用がかかります。その費用削減が品証の目的でもあるので、「件数削減」が目標となってしまう。
だから、「率」が下がってもダメ。
開発側が「クレーム率」を目標にしているのに、品証は「クレーム件数」。
もう、ここがメチャクチャな仕事。どれだけ頑張っても、出荷数次第で目標達成できない。開発や製造がミスすれば、それで終わり。
だから、目標達成しなくても「仕方ない」と誰も気にしない。
実質的にクレーム件数は個人の評価にほぼ反映されない。改善数や提案数での評価になる。
結果ではなくプロセスの評価が中心。
逆に、
出荷数が減れば目標達成!バンザイ!
メチャクチャである。
冷静に分析する技術が必要
品質保証部は出荷数の把握が大事です。これがなかなかデータとして難しい作業になるので、できる人はごくわずかだった。
なお、いくらパソコンができたり、データベースの知識があってもダメ。
「この部品を使ってる製品の出荷数」
という専門知識が必要になる。プロじゃないと作れないデータだったりするのだ。
クレーム件数のグラフには必ず出荷数を入れよう。
「ここで出荷数が急増。クレームも急増」
納得の理由です。
ここがないと、「なぜ増えたんだ?分析しろ!」と叱られる。信頼性解析とか、部品の改訂履歴・寸法調査、いろいろやることはある。しかし違う、普通に考えてまずは出荷数だ。
だからまぁ、クレーム件数が減った時は出荷数の話はしない。
「品質保証部の努力で件数が減りました!」
これで評価アップ。部長は喜び、ボーナスアップ。
ここは「違う!」と戦わず、素直に喜んでおくのが品質保証部の生き方。馬鹿になることも大事です。
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しっかり分析し、「馬鹿らしいわ」と思えるようになったら一人前。上手く「目標」を利用し、楽しい品証ライフを。
だからまぁ、開発側から馬鹿にされるものですが、
個人プレーが多すぎな職場だった。組織としての機能が…(略