品質保証の仕事の楽しみは原因究明。
「あぁ、面倒なのが来たなぁ」
そう言いながらも、内心はワクワクなものです。
みんな野次馬のように見に来るもの。
故障した商品が送られてきて、さぁ、見てみるか!
そこで、よくあるのが「再現無し」。
再現無しとは何か?
現場で発生した故障の症状を、品証でも再現させなければなりません。
破損などは見たらわかるので関係ないですが、
「音がうるさい」などは、実際に再現させない限りは調査ができない。
「全く音がしない…。再現無し、と。」
これは毎日のようにあることです。
やっぱり、現場の環境特有のものであったり、
輸送中に直ってしまったなど、仕方がない。
この場合、現場の担当者へ電話して確認します。
自分「どういう音でした?どういう時に鳴りました?」
ここはメールだと伝わらないので、電話です。
音の種類により、金属か樹脂かくらいはほぼわかります。
そうして少しでも原因となる箇所を特定していく。
でも、やっぱり再現しないものはしません。
そうなった時、分解して異常個所を探します。
ここでも異常を確認できない場合、
「再現ありませんでした。原因不明です。」
という回答になる。
営業「そんなわけあるか!ちゃんと調べろこら!」
とバトルに発展することも。
大丈夫だ問題ない。無いものは無いのだ。
嘘を付くこともある
もちろん、再現があっても「再現無し」と回答することはある。
「再現有り」と回答すると、「原因はこれでした」という回答も必要です。
この原因がとてもまずい場合、「再現無し」として隠します。
もちろん、社内では緊急会議レベル。
だいたい再発するので、原因がわかったところで、
「再現しました。原因は後日報告します。」と引き伸ばす。
それでも、本当の原因を言うかは別。
100%発生する設計ミスであれば、
取引先「全数交換しろ!」
という流れになる。
品証としてはこれは避けたい。
ここをいかに避けるか?がプロ技です。
もちろん、大きな問題になる故障の場合は自主回収かリコールです。
異音程度で回収はしませんが、破損や漏水などは検討します。
再現無しデータはなぜ増えるのか?
ここは品質保証部の悩みだと思います。
なんでこんなに再現しないんだ?と。
ここ、いろいろと追及するとわかることがあります。
修理業者はこういうことをする。
「現場で再現なかったけど、再現したことにして交換しよう。
大きな異音再現あり!モーター交換!と記入すれば良し!」
そら品証でも再現しませんわ、と。
水漏れなんかも、結露とか他の要因が多いものです。
あと、新築だと、
営業「気になるところありませんか?」
奥様「ここが時々固いかな」
営業「交換しておきましょう!」
これも多い。よく聞くと暴露してくれる。
基本的には現場で再現無いと部品の無料交換はしません。
だから、再現したことにして交換する。
そして、修理業者としては交換した方が儲かる。
「再現したことにして交換しとこ。技術代美味しいです。」
品証はもちろん、必死に再現させようと試験をする。
分解し、関係ある部品を顕微鏡で見て、症状の痕跡を探す。
やってられんわ!
という話しである。
こういうことも多いので、
「再現無いのは現場の問題」
と適当に処理してしまうこともある。
「できる人」は嘘か本当かを見抜き、確実に再現させる。
ここは本当、実力がもろに出ます。
仕事しない人は何でも再現無しにして手抜きする。
これは間違いないと言っていい。
品証の再現無し問題はこんなところです。
どっちもどっち