「品質保証部は言うだけ」
とよく言われる。確かに、開発部や製造部にお願いばかりをする。「対策よろしくね!」と。
なんせ、品質保証部は情報提供くらいしかできない。故障の原因解明はできるが、部品改良は無理。ひたすらお願いするしかないのだ。
ここに開発部は不満たらたらになる。
優先順位を決めてくれ
品証がお願いばかりしすぎて、処理しきれない。
「不具合発生→対策」という流れになるので、設計ミスがあればあるほどに開発に仕事が溜まっていく。品証としては開発に渡せばほぼ仕事完了。
とにかく開発側に仕事を渡し、自分の仕事を終わらせる。
品証としても次から次へと仕事が発生するので、一つの案件にこだわっているわけにはいかない。調査結果の報告もしないといけないので、早く渡す。
だから、誰もが自分の仕事を優先させたがる。
取引先がご立腹です!
経済産業省への報告が!
声が大きい人が「早くやってくれ!」と言う。このあたりのルールが特になく、個人プレーな感じだった。課長が言った案件が優先、と。そして、ある程度は開発の判断。
数が少ないとそれでも問題ありませんでしたが、ある時に急増して限界になる。
開発「優先順位を決めてくれ」
ここで品証内でも紛争勃発です。
何を優先するのか?
設計ミスの改良の場合、どの製品からやるべきか?
・新商品の不具合
・多発不具合
・被害を与える不具合
・取引先ご立腹不具合
なかなか悩ましい問題ですが、ある程度は決まります。
火傷や怪我などに繋がる不具合は間違いなく最優先。怪我させる設計ミスなど論外。リコールダメ、絶対。
となると、その次です。
会社により判断が違うと思いますが、重要なのは新商品。新商品で悪い評判が付くと、大きな売り上げ減になる。会社の存続に関わるので、最優先で対策をしました。
次に「取引先ご立腹不具合」の優先順位が高かった。対応に落胆させると今後の採用に関わってくる。大きな売り上げ減に響くので重要です。
この3つを優先させて、それからようやく「普通の不具合」へ着手です。
「多発不具合」でも、出荷数の問題がある。いくら多発していても、生産中止品の優先度は低い。「今後の出荷量」と「迷惑具合」が判断材料になる
ここの判断は品証の役割。個人が判断するのではなく、会議でしっかり決めます。定期的に新規不具合が発生するので、定期的な会議が必要になる。
ただのアピール会場になるのは想像につくだろう。
しかし、上手くいかない
開発の不満が爆発してくる。
優先順位を付けても、当然ながら仕事はどんどんと溜まる。処理してもしても追いつかず、ブラック企業並の残業。品証も品証で現場対応に追われて残業。
不具合が多発した時、品証・開発は地獄である。出張に行って帰ってこない人もいる。そんなところなので、開発は品証に要望してくる。
開発「原因究明までやってくれ」
これは自分としてもそう思う。自分は原因究明までしっかりやる派でしたが、実際にはそこまでやる義務はない。だから、ほとんどの人は「不具合だよ。よろしくね。」と丸投げ。
品証としても余裕が無く、開発も余裕が無い。こうなると正論のぶつかり合いです。
品証「設計者がやるべきだろ!」
開発「早く対策するためには品証も手伝うべき」
もう愚痴の言い合い。人間、余裕が無いとこうなります。
傍から見たら「ルール決めろよ…」と思ってしまうだろうが、この仕事は応用が大事なので、あまり決まりを作らない。状況に合わせて最適な行動を考えています。
こうしてやっぱり、
「品証は言うだけ」
となって落ち着くのであった。