品質保証部は原因解析の日々
何をするにせよ、故障品等の原因を解明しないといけません。その結果をデータにしたり、社外文書にしたり、改善要望に繋げたり。
そんな時、必ずあるのは「迷宮入り」。
全くわからない
原因不明で放置されている不具合がある。
あれやこれやと原因解析をしても、わからない。なぜにこういった症状になるのか?現場へ行っても不明、試験でも再現せず。
ある時、その不具合が増加して、原因究明を命じられた。
迷宮入り案件を自分一人に命じるっておかしいだろっ!と思うも、そんな個人プレーが品質保証部。なお、前回は関連部署が総力を挙げてもわからなかった。
これが、さすがにわからない。
症状は水漏れです。返却された故障品や試験では水漏れしない。不思議、と。
ひたすらに試験
もちろん、他の仕事と同時進行。
空いた時間に迷宮入り案件に手を付けるという、高難易度。考えてもわかるわけがないので、あらゆる試験を実施。
「〇〇君、頑張ってるね~」
と冷やかしにくるおっちゃん達。確かに楽しそうに見えるだろうが、結果を求められるので辛い。くっそ高い圧力をかけて爆発させようかと思うほど、難航。
いろいろやっている中、たまに再現することがあった。これだけでもかなり助かる。
「なんとか再現までできました」
水漏れする理屈は全くの不明での苦しい中間報告。
原因解明へ
あっけない幕切れだった。
やけくそでパッキンを外して、試験を実施。これをすると大漏水するはずだった。
しかしなんと、全く漏れない。
あまりにも寸法精度が良く、樹脂同士の干渉部なのにしっかりシール。ありえない。樹脂でシールなどありえない…ことはないか。
これにより、パッキンからごくわずかに水漏れしたものが、樹脂シールによりありえない箇所に水圧がかかり、わけのわからん漏水に至っていたことが判明。
世界よ、これが日本の技術…
難しいものほど簡単
わからないものほど、原因は簡単だったりする。
こういった原因解析は数えきれないほどやっていますが、難しいと思っていたものほど、簡単な原因だった。
「なーんだ。納得。」と。
今回も図面を見る限り「ありえない故障」だったので、そこの固定概念が原因究明を難しくしていた。
だから、「わからん!」という故障ほど、簡単に簡単に考えることにした。開発がわからないものは、簡単な想定外が原因だ、と。
だいたい、それで合っている。
~
そんなこんだで、迷宮入り案件は素早く対策。パッキンをよりコストをかけてご立派に。ただ水漏れはいずれ劣化で起こるので、樹脂シールを無くすのが根本的な対策。これも寸法をちょっといじるだけという、簡単な対策。
完全に品質保証部の成果!
部長「やるじゃないか」
と高評価を得たのであった。
しかし、ここで成功すると無茶ぶりが増えるのは言うまでもない…